さて、まずは「教科書を『理解』しよう」という話でした。
次回は「ノートの取り方」編です。
相模原市南区に誕生した無料塾「ひばり学校」のブログです。
いきなり聞きますが、みなさんは何のために勉強していますか?「いい成績をとりたい」「志望校に受かりたい」「親に言われるから」「将来のため」などなど。いろいろあると思います。
じゃあ、受験しなくても進学できる、勉強しなくても誰からも文句言われない、ってなったら?「勉強するわけないじゃん」って返事が聞こえてきそうですね。
でも本当にそうですか?試験がなかったら、勉強する意味なんてないと言えるでしょうか。
数学の苦手な生徒の中には「関数なんて勉強しても、大人になって使う場面なんてないでしょ?数字の計算だけできれば問題ない」という言い方をする人がいます。漢字が苦手なある生徒は「漢字を勉強する意味がわからない。漢字なんて読めればいい。ひらがなで書いてもちゃんと意味は通じるでしょ」と私に言いました。本気で言ってるのか?と思いましたが、本人はいたってまじめに言っています。
「勉強する」とは「可能性を広げる」こと
そう言う生徒たちに答えるとき、「学ぶこと」の本当の意味は「世界を広げること」だと私は言います。別の言葉で言えば「可能性の拡大」です。
資格を必要とする仕事は試験に合格しなければスタートラインに立てません。資格に関係なくても、仕事に取り組む際、数学的なものの考え方を必要とするときはあります。国語力がなければ仕事の文書を読めません。なにより、一定の知識を必要とする会話に加われません。自分が望まなくても、付き合える人たちが限られてしまいます。
出身校に関係なく、全力で勉強した経験は必ず将来自分を助けます。そう、「必ず」です。私は50歳になりますが、何人もの同年代の知人が次のようなことを言います。
「自分は子どものころ真面目に勉強してこなかった。今になってつくづく思う。あのときもう少し真剣に勉強していればよかった」
みな一生懸命人生を生きてきて、それなりにみな結果を出して幸せな人生を送っている立派な大人たちです。社会に出てから、関数や英文法の知識を求められて困ったことは、たぶんなかったはず。それならなぜ、ずっと昔の学生時代に勉強しなかったことを今更悔やむのでしょう?
みな人生経験で知っているのです。社会生活に直接関係なくても、勉強することで人生の幅が広がることを。誰もが人生の中で自分の壁にぶつかるときがやってきますが、学生時代に勉強しておけばもっと試せた可能性があったことを。
中高生のみなさん、学ぶことの基礎になる学科の勉強は、学生時代を過ぎてからやろうとしてもほとんどチャンスはありません。今しかないのです。今にしか与えられていない、勉強というすばらしい権利をぜひ存分に使ってほしいと、私は強く願っています。
相模原南区で無料塾「ひばり学校」を始めた木谷(きや)といいます。
第1回目なので、私の自己紹介と、「なぜ無料塾なのか」ということを書きます。
私はサラリーマン生活を25年くらい続け、2年前から塾講師や家庭教師を始めました。塾は普通のチェーンの個別指導塾です。家庭教師は個人で始めました。長い間教育とは無縁な世界で働いてきたので、教育の世界は新鮮でした。子ども相手の仕事であり、直接子どもたちの成長に関われるというのが魅力です。教え子が成績を伸ばして、志望校に無事合格したという知らせを聞く喜びは、もしかしたら生徒当人よりも大きいのではとすら思えるくらいです。
無料塾を知ったきっかけ
家庭教師の生徒獲得のために、無料の勉強会を、区内の団地の集会所を借りてやりました。そこで経済的な理由で子どもを塾に通わせられないという保護者に会いました。そういった家庭に出会ったのは三度目でした。もしかしたらこういった子どもたちは結構たくさんいるのではないか、私はそう考えました。そして調べてみました。
結果、格差社会が教育格差に繋がっていて、それが進行していること、脱ゆとり教育により子どもたちの学習習熟度にも格差が広がっていること、行政は生活保護世帯など福祉の切り口でないとなかなか手が出せずにいること、などの実態を知ったのです。いくつかのデータを組み合わせて自分で出した試算は、私の住む相模原市南区だけで2000人以上の小中学生に学習支援が必要というものでした。
調べていくうちに私は恐ろしくなってきました。「このまま彼らを放置して保護者の責任と言ってしまえば楽だが、そうすると30年後の日本はどうしようもない社会になるのではないか」と思いました。「なぜ誰もやらないのだろう?」とも思いました。
相模原市緑区に「無料塾」という存在があることを初めて知り、早速見学に行きました。無料塾「みのり塾」です。
http://sagamihara-minori.jimdo.com/
代表の小布施さんがかつて講師をされていた八王子の「つばめ塾」にも行きました。
http://hachiojiswallow.com/
先輩無料塾の話を聞く中で、「自分がやることはこれだ」という思いが強く強くなっていきました。「南区で誰もやっていないようなら、自分がやればいい」と考えました。
こんな経緯で、無料塾を作ることにしました。
まだ生徒さんも、講師のかたも全然足りません。全てはこれからです。
地域のみなさんの力が必要です。
まだ力はありませんが、勉強したいと思っている子どもたちのために、全力で取り組んでまいります。